「頑張ります」は目上の人に使っていけないのか ー 意外に無難な言葉?

2024.04.29更新

 

「頑張ります」は、ビジネス記事では評判が良くない。
「どう頑張るか」が示されていないからだ。
しかし咄嗟に答えなければならない時、無難な言葉だ。

その理由を考えていこう。

 

1.「頑張ります」はどんな時、使われるか?

そもそも、「頑張ります」はどんな場面で出てくる言葉なのだろう?

 

上司が指示事項や目標を伝達し、「〇〇君、どうだろう?」と部下に確認したときに出るケースが一番多いのではないだろうか。

 

すなわち、「頑張ります」は咄嗟に答えなければならないときに出る言葉なのだ。

 

この点を、多くのビジネス記事は見失っているように思える。

 

 

たしかに会議の席や、上司との面接で、「頑張ります」ではあまりにも心許ない。

やる気も疑われる。

そんなときは、どう頑張るかを示さなければならない。

 

ただ、「頑張ります」がどんな時に出る言葉なのかは押さえておく必要がある。

 

 

「頑張ります」は咄嗟に答えなければならない時、出る言葉

2.上司は「頑張れるか」「頑張れないか」を問うている

会議の席や、上司との面接では、どう頑張るかを示さなければならないが、

上司が確認の意味で、「どうだろうか?」と訊くとき、上司はどんな答えを求めているのだろうか?

 

詰まる所、「頑張れるか」「頑張れないか」を問うているのではないだろうか。

「やれるか」「やれないか」に置き換えてもよい。

 

そんなとき、「頑張ります」は答えになっているのだ。

 

 

私はビジネス社会で、上司から「どうだろうか?」と訊かれて、難色を示す人も見てきた。

 

その人たちは「キツイですね」と答えることが多かったと思う。

しかし、その後に出る言葉はやはり「頑張ります」だった。

つまり、「キツイけと、努力します」と、その人たちは言っていたのだ。

 

ここに「頑張ります」の本質がある。

「頑張ります」は努力することだからだ。

 

 

上司が問うているものは?

3.「頑張ります」は目上の人にNGか

目上の人への「頑張ります」の言い換えは、数えきれないほどネットに掲示されている。

 

主なものは、次のとおりだ。

 

「精一杯頑張ります」

「一生懸命頑張ります」

「ご期待に添えるよう、全力を尽くす所存です」

 

これらの言葉の前に、「目標達成に向けて」「ご要望に応えるために」などと付け足す例も紹介されている。

 

 

たしかに、目上の人には、このような表現が望ましいかもしれない。

しかし、「頑張ります」とどこが違うのかと首を傾げる人は多いと思う。

そう、基本的には「頑張ります」と同じなのだ。

 

じつは、紹介されている言い換え例でも、「何をどう頑張るか」は示されていない。

 

 

「何をどう頑張るか」を示そうとすれば、それを表現するのに時間を要する。

会議の席や面接の場なら可能だが、すぐに答えなければならないとき、それを示すことは難しい。

また、その部分を示すと簡潔な答えにもならない。

 

むしろ、「頑張ります」と答えた方が「場」に合っているのだ。

 

 

4.大事なことは、声のトーンと表情

「頑張ります」は簡潔で、意外にその「場」に合っている言葉であることをお話ししたが、

本当に大事なことは、「頑張ります」の声のトーンと表情だ。

 

蚊の鳴くような声で「頑張ります」と言われたら、不安になるし、

暗い表情で「頑張ります」と言われたら、「本当に頑張れるのか」と思う。

 

それが、ハッキリとした言葉で、しかも明るい表情で「頑張ります」と言われれば、「きっと期待に応えてくれる」と思う。

 

 

そう考えると、「頑張ります」という言葉の適否が問題ではなく、声のトーン、表情といった「答え方」が問題なのだ。

 

 

「頑張ります」は実は言い方の問題

5.工事費で使われる「頑張る」という言葉

家の新築、リフォームした際、建設業の人が「頑張る」という言葉を使っていなかっただろうか?

 

「頑張る」は、工事費の値引きをお願いしたとき、建設業界の人から出てくる言葉だ。

 

 

私は会社員時代、ある時期不動産部門に所属したことがあったが、

工事費の値引きを要請したとき、建築業の人から返ってきた言葉は、やはり「頑張る」だった。

自宅のリフォームをお願いした際にも、この言葉が返ってきた。

 

その意味は、「要望に沿うよう努力する」という意味だ。

 

 

問題は、この「頑張る」といういう言葉を聞いて、どう感じたかだ。

けっして悪い感情を覚えなかったはずだ。

むしろ頑張ってくれることに感謝し、期待に胸を膨らませたのではないだろうか。

 

 

ここにも「頑張ります」の本質がある。

「頑張ります」は努力することを表明することなのだ。

 

そう考えると、この言葉が悪い意味を持つわけはない。

 

 

工事費の見積もりの際、「頑張る」という言葉が使われる

6.「頑張ります」は無難な言葉

私が長年勤めた会社のトップは、

「頑張るのは当たり前だろ。どう頑張るかを訊いているんだ」が口癖だった。

 

まさにビジネス記事の内容そのものだ。

 

しかし、私はその言葉に反発を覚えたことがある。

というのは、トップは忙しく、「どう頑張るか」を話す時間などあまりなかったからだ。

今考えると、トップはそれを承知のうえで「頑張る方法が大事」と説いたのだと思う。

 

 

その後、私はサラリーマン社会で一定の役職まで進み、自分が管下組織を回ることになった。

私は店に入ってすぐに、職員に「頑張っているか?」と訊いたものだ。

その後に、「〇〇の件、どうだ?」とも尋ねた。

その際、職員から決まって返ってきたのは「頑張ります」という言葉だった。

 

 

正直、その言葉に悪い印象はもたなかった。

むしろハッキリその言葉を言われると、何か嬉しくなったのだ。

私はその言葉を聞いて、安心してその職場を後にした。

 

そこには、述べてきたように、「頑張ります」の言い方の要素が存在したのかもしれない。

ただ、「頑張ります」とハッキリと言われたときは、悪い方向には進まなかったことはたしかだ。

 

 

「頑張ります」はけっして使っていけない言葉ではないのだ。

同時に、意外に無難な言葉であることを身をもって知った。

 

 

「頑張ります」については、机上での議論が多すぎるような気がする。

重要なことは、この言葉を言われた人がどう受けとめるかだ。

 

現場には、その場、その場に合った言葉がある。

言葉を考えるとき、「場」に合っているかどうかということが、一番大事だ。

 

綾小路 亜也

 

「頑張ります」は無難な言葉?

 

 

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